2025/05/31 10:02
岐阜県揖斐川町。
この地で深刻化するシカによる農作物被害や生態系への影響に対して、「鹿まるけコンテナ基地局」は、捕獲した鹿の命を無駄にせず、地域資源として価値あるジビエへと昇華させる取り組みを進めています。
この処理施設は、運営者である岸啓司(きし・けいじ)さん(2025年時点で51歳)が、DIYで時間をかけて丁寧に作り上げたもの。
2024年12月にオープンしたばかりですが、コンテナを活用したシンプルながら機能的な構造で、捕獲から処理・精肉・販売までを一貫して行う6次産業化のモデルとして注目されています。
現場主義の徹底——すべてを自らの手で
岸さんは、自らくくり罠を仕掛け、捕獲から止め刺し、放血、搬送、解体、出荷まですべてを一人で担う、まさに“現場の職人”。
その徹底した品質管理により、肉の色は非常に美しく、処理不良による嫌な臭みがなく、鹿肉本来の旨味と清潔感のある味わいが特長です。
これまでの年間捕獲頭数は約100頭。今後も同規模の処理を見込んでおり、手作業による処理の限界を見極めながら、高品質なジビエの安定供給を目指しています。
解体の精度が、美味しさの鍵
「鹿まるけ」では、ただ部位に分けるだけではありません。岸さん自身が「美味しい」と感じる基準で丁寧にスジを取り、外モモを「シキンボ」などに細かく分けるなど、料理人にも扱いやすい形に解体されています。
火入れ後の食感にも差が出る精度の高さは、プロの飲食店からも高く評価されています。
ハンター×まちづくりの担い手へ
岸さんは、2025年春の町議会議員選挙にも初当選し、狩猟者としてだけでなく地域の課題に取り組むプレーヤーとしても注目されています。
狩猟とジビエ、そして地域づくり。この3つをつなぐ存在として、彼の挑戦はますます加速しています。
命の授業と地域教育への広がり
「鹿まるけコンテナ基地局」では、ジビエ処理だけでなく、命の授業や狩猟体験学校といった教育活動も行っています。
捕獲=害獣駆除という考えではなく、命をどう活かすかという哲学を、地域の子どもや都市の人々へと伝えています。
まとめ
自然と人との関係が見直されるいま、鹿まるけコンテナ基地局は、その最前線にいます。
「ONE GIBIER」は、こうした誠実で持続可能な仕入れ先と共に、ジビエの新しい価値を創り出し、全国へと届けてまいります。
次回は、また別のジビエ施設をご紹介予定です。どうぞお楽しみに。
※「鹿まるけ」の最新情報は、公式Instagram(@shikamaruke)をご覧ください。
【出荷のこだわりと製品ラインナップ】
- 熟成は行わず、急速凍結も不使用。
捕獲直後の迅速な処理と適切な保冷により、鮮度と旨味をしっかりキープ。
- スジ取りは非常に丁寧。
調理しやすく、仕上がりの品質が安定します。
- 性別・体重などの個体情報を添付。
飲食店や研究機関での活用にも便利。
- 内臓や骨の納品にも対応可能(要問い合わせ)。
必要に応じて個別対応。
- ペットフード製造も実施。
食用に適さない硬い個体などは、ペットフードとして命を活かしきる姿勢を徹底しています。