2025/06/01 08:01
福井県敦賀市。
海と山に囲まれたこの自然豊かな町で、地域初のジビエ食肉処理施設「つぬがじびえ合同会社」が2025年2月に本格稼働しました。
運営するのは、代表の宮迫太一(みやさこ たいち)さん。
もともとは会社員として働いていましたが、地元で深刻化するシカによる獣害問題に向き合うために退職を決意。「このままでは地域が壊れる」と、強い覚悟で自らの手でジビエ処理施設を立ち上げました。
私たち「山立会」が石川県で開催したジビエBBQイベントにも参加してくださるなど、フットワークの軽さと行動力も魅力。
全国のジビエ関係者とも積極的につながり、常に学びを深める勉強熱心で前向きな姿勢が印象的です。
施設の設計や精肉技術に現れる丁寧さと誠実さ、そして人懐こく温かい人柄は、現地を訪れた誰もが信頼を寄せる理由でもあります。
徹底した鮮度管理——捕獲後30分以内に処理
つぬがじびえでは、敦賀市内で捕獲されたシカのみを対象に、捕獲から30分以内に施設へ搬入・処理するというスピード対応を徹底。
その後、枝肉の状態で3~4日間熟成し、さらに真空包装した状態で3~4日熟成するという、2段階の熟成工程を採用しています。
旨味を最大限に引き出しつつ、臭みを抑えるこの工程は、味に敏感な料理人からも高く評価されています。
また、部位によって異なる冷凍方法を採用しており、
- ロース・モモなど主要部位には液体急速凍結を使用し、鮮度と食感をしっかり保持。
- 一方で、ネック・バラ・ウデ・スネなどは急速凍結機の容量の関係上、通常の冷凍処理となっています。
それぞれの特性を活かしながら、できる限りベストな状態で出荷できるよう、冷凍方法も部位別に工夫されています。
若い個体を厳選——美味しさと調理のしやすさを両立
つぬがじびえで人用の食肉として扱うのは、体重25㎏~40kg前後の若いシカ。
肉質がやわらかく、臭みが少ないため、初めてジビエを食べる方にもおすすめできる品質です。
ソーセージ、ペットフード、ラーメン——命を無駄にしない循環
つぬがじびえでは、枝肉だけでなく、内臓や骨なども含めた部位の提供を行っています。
特に、硬すぎて食肉としては流通できない個体や部位は、ペットフードや加工品の原料として有効活用されており、命を余すことなく使い切る姿勢が貫かれています。
実際に、つぬがじびえから提供された素材は、他の専門業者によって「無添加ペットフード」や「鹿骨ラーメン」などの商品へと加工・開発されています。
たとえば、鹿の骨を使ったスープは地元飲食店と連携して開発された「鹿骨ラーメン」として地域でも親しまれており、ジビエの新たな可能性を広げる一例となっています。
また、希望があれば、内臓や骨の個別提供にも柔軟に対応しており、飲食店や商品開発を手がける事業者にとって、頼れるパートナーとなっています。
地域とともに育つジビエ施設
施設の稼働は、現在1日最大2頭までの受け入れ。
「一頭ずつ丁寧に仕上げる」ことを大切にし、年間解体目標は約400頭。現在も順調なペースで稼働を続けています。
まとめ
「つぬがじびえ」は、
- 鮮度・熟成・冷凍に徹底してこだわり
- 若く柔らかな個体のみを厳選
- 人にもペットにも命を無駄なく届ける
- そして、地域とともに育つジビエ拠点です。
宮迫さんの人柄や熱意が、ジビエを“食材以上の価値”に高めている。
私たち「ONE GIBIER」は、こうした誠実で情熱あふれる生産者と共に、ジビエの未来を切り拓いていきます。
最新情報は、
▶︎ 公式HP https://tsunugagibier.com
▶︎ Instagram @tsunugagibier
からご覧ください。
次回はまた別の仕入れ先をご紹介予定です。お楽しみに!