2025/06/02 08:45
石川県・白山麓。
手つかずの自然が残るこの地で、地域の観光と自然資源を活かした持続可能な取り組みを続けているのが、一般社団法人
白山ふもと会です。
この団体は、白山麓の旧5村の観光協会が手を取り合い、地域全体の活性化を目指して立ち上がりました。ジビエの食肉処理においては、石川県で最初に食肉処理業の許可を取得した先駆的な存在でもあります。
主役は、白山の猪(いのしし)
ふもと会で処理されるジビエの中心は、白山の山々を駆け回る野生の猪。
豚熱が流行する前は、年間300頭近くを丁寧に処理していました。最近では、県内で増えてきたニホンジカや、年によってはツキノワグマの処理も行われており、まさに“山とともに生きる技”が息づいています。
捕獲から処理まで、現場主義の姿勢
このジビエ事業を支えているのが、中山明設(あきせつ)さん。
中山さんは、地元で老舗の中山旅館を営みながら、猪の罠の捕獲現場まで駆けつけ、止め刺し・運搬・解体を一手に担う現場の要。
現場での迅速かつ的確な対応が、肉の美しさや臭みの少なさに直結しています。
解体技術と部位分けにも職人の工夫
ふもと会では、牛や豚の解体経験者から学んだ技術を活かし、畜産と同様の部位分けを採用しています。これは、飲食店の料理人にとっても扱いやすく、メニュー開発がしやすいと高評価。ジビエを扱い慣れていない方にも安心して使っていただける理由のひとつです。
熟成のこだわりは「皮ごと」
捕獲した猪は、専用の熟成冷蔵庫で毛皮をつけたまま1週間ほど熟成させます。
これは、肉の乾燥を防ぎながら旨みを引き出すための工夫。
急速に処理して出荷するのではなく、「本当に美味しい肉」に仕上げるためのひと手間と時間がかかっています。
地元旅館や飲食店で愛される味
ふもと会のジビエは、地元でも非常に評判がよく、白山麓の温泉地や観光地にある多くの旅館・飲食店で提供されています。地元で愛され、観光客の舌をうならせてきた味が、いま「ONE GIBIER」のネットワークを通じて、全国へと広がろうとしています。
白山ふもと会のジビエには、山の命を無駄にせず、美味しさと安全性を追求する姿勢が込められています。
地域に根ざし、人の手で丁寧に仕上げられたその肉は、単なる食材ではなく、風土と技の結晶。
私たち「ONE GIBIER」は、そんな生産者の想いごと、皆さんの食卓へとお届けしていきます。
次回は、また別の地域のジビエパートナーをご紹介予定です。どうぞお楽しみに。
【生産のこだわり】
白山ふもと会では、品質へのこだわりを持って、日々のジビエ処理に取り組んでいます。
- 熟成は約1週間。
個体の大きさに応じて最適な期間を見極め、毛皮をつけたまま熟成専用冷蔵庫で管理。乾燥を防ぎながら旨味を引き出しています。 - 個体情報を添付。
出荷する肉には、性別や体重などの個体情報を記載し、トレーサビリティとストーリー性のあるジビエを提供しています。 - 取り扱い獣種は猪・鹿・ツキノワグマ。
主力は猪ですが、年によっては鹿やクマも処理対象とし、山の恵みを幅広く活用しています。 - 安全対策として金属探知機を使用。
解体後は全頭検査を実施し、異物混入のリスクを徹底的に排除。安全性にも細心の注意を払っています。 - 捕獲方法は多様。
箱罠・くくり罠・銃猟で捕獲された個体を対象としており、捕獲方法に応じた丁寧な処理を行っています。
こうした一つひとつの工程にこだわるからこそ、ふもと会のジビエは「安心・安全・おいしい」の三拍子がそろった、信頼できる食材として高く評価されています。